item4
item4 Vacation 2005 item4
item4
item1

   2008年11月30日から12月13日まで、中国の深圳画院に滞在し制作を行った。これは第6回 Ink-Painting Biennaleにおいて、日本特集が組まれ、京都国立近代美術館館長、岩城見一さんのキュレーションによる「日本現代水墨」の一環として行われたもの。出品作家である、 福嶋敬恭、SZ、押江千衣子、津上みゆき、三瀬夏之介の作品が深圳画院にて2008年12月10日から2009年2月10日の期間、展示された。

item10 item11

画院は深圳中心部からは少し離れた、閑静な住宅街の一角にあった。近くにはリゾートホテルやゴルフ場などもあり、立ち並ぶマンゴーの並木や公園のライチの木などはまさに南国の風情。12月だというのに半袖でも大丈夫な陽気だった。

今回は制作時間が少ないということもあり、教え子である高岡暁くんにスタッフとして同行してもらった。

item6 item16
item9 item7
item3

さっそく制作開始!しかし材料である和紙がまだ届いていないというトラブル発生。なんでも香港で荷物が止まっているとのこと。急遽近くの画材屋で宣紙を購入。使い慣れた麻紙と比べて薄く、墨の流れ、溜まりもまったく違う。数日は水の動きを読むのに苦労させられる。まずはいつものごとく小さなパーツを大量に作り出す。奈良とよく似ている深圳の山の稜線と、海への玄関口である香港のイメージが頭をよぎる。

item17 item12

画院内には展示施設、作家のアトリエ、リサーチャーの研究室などがある。古来画院が持っていた機能や影響力は時代の移ろいとともに薄れ、自由化、解体の方向へと向かっている。

僕が制作に打ち込む間も、展覧会へ向けて展示室の大工事、出品作家の展示準備、オープニングの準備に広報活動など、スタッフは全員大忙しであった。とくに円形の壁面を建てる工事は圧巻!

item22

忘れていけないのは深圳の食の印象!いつもどこでもほんとうに美味しかった。画院内には食堂も併設されていて、毎食が楽しみだった。

museum open1
open2 item19

インクペインティングビエンナーレは深圳市内数カ所で開催される。作品が完成せぬまま、日本からの作品が届かぬまま、深圳博物館でのオープニングが始まってしまった。子供たちの一糸乱れぬ歌踊り、舞い散るバラの花、中国の底力を感じる。このあたりから毎晩がパーティーの様相。中国、台湾、韓国のアーティストたちと親交を深めるも、会話はすべて英語。制作の疲れとともに、脳ミソがパンクしかけたのもこの頃。

item28 item29
item27 item26

深圳画院に先駆けてオープンを迎えた深圳博物館では「都市」や「故事」などのテーマにわけて現代の水墨画が展示されている。一番興味をひかれたのは映像の作品で、作家が水墨を意識してつくっているのか、キュレーターが強引に招き寄せたのかが気になるところ。水墨画というジャンルがまだ脈々と生き続けており、水墨画家の地位も高いこの国での「新しさ」という部分の難しさを感じる。とにかく大事なことはその作家が「水墨」を必然として捉えているのかどうか?ということだろう。

item18

滞在1週間目にしてついにコンテナ到着!中国の紙と日本の紙、中国の風景と日本の風景をハイブリッドさせようという考えは、このコンテナの遅れから生まれた偶然か必然か。

体が完全に順応し、1日10時間以上の制作もまったく苦にならない。思うままに筆も水も動くさまは心地いい。

item15
item13
item39
item41 item38
item37
item30

アトリエは日当り良好、24時間使用可、ネット常時接続と最高の環境だったが、さすがに8メートル近くの作品に対しては窮屈になってきていた。

画院の片隅には木工室があり、展示台などの工作も急ピッチで進んでいる。とにかくこちらの人は一からすべてを作り出し、仕事も速い。

出品作家たちも日本から合流し、通訳の方も登場!ようやく舞台は整った。

オープニング前日、いよいよ展示開始。

まるでじゅうたんのような壁にとまどうも、ぼくの作品は高さと間隔さえ決まればあとは画鋲で刺すだけ。

item36 item43
item46
item44 item52

暗闇の中、高岡くんが磨くのは「携帯山水」と題された作品。画院内を散歩していてみつけた展示台からインスピレーションを得た。

パーツのレイヤーを重ねることによって、誰でもオリジナルの山水が簡単につくれるというコンセプチャルな作品。

屏風作品の展示はオープニングの直前にまでもつれ込んだ。

石膏で真っ白になったフローリングの掃除、ワックスがけを待っている間にも刻一刻と時間は過ぎる。展示台はまだ乾かない。こんなに追い込まれた中での飾り付けは初めてだった。結局レセプションの1時間前に完了!

item51 item48

掃除完了を待ちきれずに持ち込んだ展示台(生乾き)

item50

そしてついにオープニング!平日のお昼間だというのに、どこからともなく人が湧いて出てくる。

item56 item55

さて、今回の出品作品です!

item54

exhibition view

item32

『山水』 2008年 190×245 ㎝  

雲肌麻紙、宣紙、墨、胡粉

item33
item34

『笑月』 2008年 190×245 ㎝×3枚  

雲肌麻紙、宣紙、墨、胡粉

item59
item57

「奇景 /日本の絵」2005年 

和紙、金箔、墨、染料、金属粉、アクリルなど 十曲一隻両面屏風

item35 item40
item45

「山水」は深圳の画材屋で見つけた15円の筆置きからの連想。「笑月」は奈良から深圳までの空間を描き、夜空にはその頃ニュースになっていた、月と星が織りなす笑顔を描き込みました。

翌日の「SHENZHEN ECONOMIC DALY」に一報が出る!画院では丸一日をつかったカンファレンスも行われ、水墨に対する問題意識の高さが伺われた。国境を越えて、言葉の壁を越えて、研究者も制作者も交流を深められたらと願う。

また夜な夜な行われた「居酒屋シャッキー」でのアーティストミーティングも楽しい時間だった。まるで学生やったな。

item68 item69
item58
item67 t507
item71
item66

近くて遠い中国。思考と制作を深めてまた必ず訪れます!

すべての画像は今回の同行カメラマン、小原亮氏によるものです。多謝多謝です。

 

2009年1月23日 三瀬夏之介

top