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『Works 奈良⇔東京』 DM

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『Works 奈良⇔東京』 exhibition view @画廊宮坂

 三瀬夏之介は奈良に在住する日本画家だ。今回の展示では小作品を中心に64点展示しているが、いずれの作品も「日本画」にとらわれず、今の時代を表す現代性を獲得しようとしていることが伺える。

作品のモチーフは奈良の街並みを構成する神社仏閣、とりわけ五重塔や大仏が中心である。にじみ止めをしない和紙に墨で描いているためか、水墨画のような味わい深さがある。またターコイズブルーに発色する銅錆を画面上に施すことで、墨との鮮やかなコントラストを際立たせている。

なかでも目を引くのが、五重塔や大仏の傍らに描かれたUFOや巨人の影だ。空中をさまよう円盤型の未確認飛行物体や大魔人のような巨人の姿は、「日本画」のモチーフとしては珍しいが、同じように墨で描かれているため違和感なくごく自然に画面内に収まっている。コラージュのように非日常的なイメージを衝突させることで日常性を異化させる効果を狙おうとしているわけではないようだ。

とはいえ、この特異な「日本画」が表現しているのは、古都奈良で生きる作家の心象風景というわけではない。見る側からしてみれば、UFOや巨人といった未知の存在が目に見える形ではっきりと現前しているため、五重塔や大仏までもがそれらと同様にいかがわしくも怪しげに見えてしまう。その点からいえば、見えるものと見えないものとの拮抗関係を示すというより、現実と想像が限りなく近づきほとんど一体となった現在の世界像を表しているのではないか。大仏や五重塔が宗教的な記号であり、UFOや巨人がオカルト的なそれであることを考えれば、神秘性ですら確たる根拠に欠け、どちらが正統であるか判別しかねる渾沌とした世界を読み取ることもできる。おそらく「日本画」への疑念にも通じる、この不安定な感覚こそ、三瀬による異形の日本画の根底にあるものにほかならない。

美術評論 福住廉 

美術手帖2005年2月号ギャラリー・レビュー東京エリア

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